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アラン探訪 そして英国へ



第3章 想いを馳せていた街 ロンドン

リッチモンドというところ

地下鉄のホーム
1月28日。ロンドンの中心地、ピカデリー駅から40分ほど地下鉄に乗り、リッチモンドという街を訪れた。
リッチモンドは、日本でいうなら東京に対する田園調布のような役どころを担う街。ロンドンのアッバークラスが好んで暮らす上品な住宅地で、いまでも牧歌的な田園風景がそのまま残されている伝統的な街なのである。
ここへ訪れた目的は、数年前から共に暮らしている英国製の旧いスポーツカー「MGB」のパーツセンターがあることを突き止めていたためで、外国人の観光客らしい者の姿はほとんど無い。

駅に着き、出発。
タクシーに頼めば連れて行ってくれるのだろうが、せっかくやって来た街だ、足で歩いて探検としよう。とはいえ、知っているのは住所だけ。通りすがりの本屋で買った土地の地図を片手に、またまた歩く。
小さなアンティーク屋、野菜の市場、写真屋に立ち寄り、道を尋ねながら1時間。さまよった果てに、やっと発見した。
MOSSロンドン! あるある。さすがは本国。日本であれだけ苦労して捜した部品を当然のように並べている。
満足には喋られない英語で「英雑誌に出ている広告を見て、日本から部品を買いにきた」と伝えると、店の人は驚いたような喜んだような面もちで、パーツのカタログを手渡してくれた。そして、メールオーダーの方法も丁寧に聴かせてくれたのだった。
続いて歩く。
途中のマーケットで、青リンゴ、ハムエッグロール、オレンジジュースを買い込み、テームズ川沿いのリッチモンドパークにて、独り、昼餉。
風は冷たいが陽の当たるベンチは快適である。 リッチモンドの広大な公園
それにしても、アイルランドや英国には馬鹿でかい公園があちらこちらにある。ロンドンのど真ん中のハイドパークなどは、公園を斜めに歩くと5000メートルもあるというのだから凄い。そんな公園がロンドンだけで4つ、この小さなリッチモンドの街にさえ2つ。我々の常識では理解できない環境だ。
しかも、それらの公園はまったく憩いの場であり、子供がよろこびそうな遊具などは一切ない。どこも一面、深い芝生で覆われていて、冬でも青々としている。園の週路には畑のような土のレーンがあり、そこを馬が歩いているのである。
そして街なかと違い、ここだけはゴミがほとんど落ちていないことには驚かされる。英国のVAT(付加価値税)は17.5%。税金が高いのも仕方がない。

夕刻。
ロンドンヘ戻り、増田氏とパブで夕食。パブはアイルランドだけでなく、ここロンドンにも数多くある。しかも百年を超える老舗が少なくない。
昔から英国人は、みな確固たる持論を持っていて所構わず何かの議論に興じる、と言い伝えられる。政治や経済、王室や環境に対し、様々な意見を交わす場として、パブは古くから栄えていたと聞いていた。
確かにそうなのかもしれない。目抜き通りから外れたパブに入ると、年配の英国紳士がしかめつらしい表情で気の抜けたビターを片手に論じ合う風景がそこにあった。
なるほど、無骨な英国人は健在なのだ。
* アラン探訪 そして英国へ10 *

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どうぞお楽しみください。