MGB.JP 発刊に寄せて
数ある20世紀の乗用車の中で、MGBのイメージとはどんなものだろう。ある程度の年齢の方ならオープンカーの代名詞だろうし、逆に若い層ならエアコンも無い前世紀の遺物だろうか。
MGBの日本の現代マスコミでは、あまり受けない一台であることは確かのようで、実際雑誌記事になるのも珍しい。生産台数が多く、趣味性も低く、実力もたいしたことが無い、そんな扱いが多いように思える。
実際、残存台数が減ってきて危惧されて居るとは言え、世界的に見てまだ15万台以上生存、日本でも推計1600台以上。確かにこの手の車でも台数は多い方だろう。
だが、見方を変えれば日本国内にはたった1600台しかない。
MGBの数字上の実力は、たかが90HP前後。日本お得意の軽自動車でも出せそうなパワー。後輪リーフスプリング・リジッドサス。今のバンでも使っていないような形式だ。最高速度もたかが100マイル前後。1.6Lクラスの普通の「セダン」でも数値上は軽く出てしまう。
スペックオタクから見たら、話題にも乗らないような車だろう。
かく言う私も免許を取った頃は、たまに見かけるオープンカーで"MG"というメーカーの車があるのは知ってはいたが、まさか買うなどとは思っていなかった。
少々強引だが、紅茶に例えれば、フォートナムメイスンのブレンド紅茶だろうか。昨今どこのスーパーマーケットでもおいてあり、紅茶通を自認している人にはイマイチの受けかもしれないが、そこは老舗。どんなシチュエーションで飲んだとしてもそれなりの味わいが出来る。なにより紅茶は、昨今さかんに作法や種類を覚えようなどと、マスコミが騒いでいるが、飲みたい時に飲む、これに尽きる。
同じように、乗りたい時に乗れるのが、MGB。
実際乗ってみるとまことに乗りやすく、全天候性能以外は実用的で、通勤に使う人もいるくらい。この辺は確かに入門車としてはうってつけではある。
だが侮ってはいけない。かってはラリーやトライアル、さらにはル・マン24でもブイブイ言わせたスポーツカー。今でも欧州豪州のヒストリックラリーではかなりの戦闘力も持つ。(相当のチューンレベルだが)
晴れた日にガレージから引っ張り出して、気合いを入れて峠を攻めるもよし、のんびり丘のある道を流すも良し。一寸止めて雲を眺めたり、紅茶を一服するもよし。きままに流すだけでも十分に楽しい車。
日本にたった1600台しかないMGB、それも1963年生まれの古い一台と、微笑ましく付き合ってきたフジタ(~m~)氏の、WEBサイト。期待してますよ!
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